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》What’s Whole Food ? 》タカコ ナカムラ料理家としてのはじめの一歩
Whole Food(ホールフード)とは、皮も根っこもまるごと食べる「全体食」から生まれた言葉ですが、食や暮らし、農業、環境を同じフィールドでとらえる考え方を表現することを「Whole Food(ホールフード)」と呼んでいます。
1989年タカコ・ナカムラが全体食の概念をよりグローバルな視点からまるごと考えていく価値観を「Whole Food(ホールフード)」と表現するようになりました。
それは、1980年半ばに、料理を学ぶために渡米した経験がホールフードに目覚めるきっかえになりました。
当時には、既にカリフォルニアでは、大型のオーガニックスーパーがあり、野菜だけではなく、オーガニックワインやオーガニックビーフ、ハーブの石鹸やシャンプー。オーガニックコットンなどハイセンスな商品が並んでいました。
アメリカで巡り合った人たちの暮らしはアロマの香りやオーガニックな雑貨にあふれていました。その経験のなかから、健康でキレイになるには、食べ物だけではなりたたない。
ライフスタイル全体をよりナチュラルで快適なものにしていかないと・・・
そして、ワタシの台所を支えてくれるのは、農家であり、生産者である。
生産者たちが安全でおいしいものを作り続けてくれるサポートを私たちはしていかなければならないことも学びました。
自分の健康、暮らし、農家や生産者のサポートを維持していくうえで、最も大切なことは豊かな自然や環境を守ること。
そのことに目覚め、それを「ホールフード」と呼び、生涯のワイフワークにしていこうと心に決めたのでした。
アメリカから帰国し、原宿のファッション学校で料理人としての道がスタートしました。
その後、縁あって、自然素材のお菓子「ハナダスウィーツ」を若干29歳でプロデュースすることになり、そのお菓子工房が1989年「ブラウンライス」として誕生しました。
その後、2003年までは、ずっと安全な素材を使ったお菓子の製造メーカーを経営することに。
私のホールフードの料理に多大なる影響を与えてくれたのは、亡きジャーナリストであり栄養学者でもあった丸元淑生先生でした。
1980年代半ばから出版された多くの著書には、素材の栄養を最大限に生かす調理方法をはじめ、油や糖の正しい使い方から、肉食過多の影響、土地の砂漠化、環境汚染まで警鐘を鳴らし、あるべき食事方法をきっちりと提唱されていました。
先生の著書で一番心に残っているものが「生命の鎖」(飛鳥新社)でした。
- あまりにも巨大で根が深い、飢えている国の大土地所有者の問題1つを考えてみても、容易には解決しようもない。だれしも無力感に襲われて当然である。しかし、この巨大な問題に立ち向かうには、最も個人的な問題からスタートしなくてはならないと。・・・「何を食べるか?」すべてはこの問いに発するのだ。何を食べるかは、自分のコントロール範囲だが、「その行為はわらわれを、地球全体の経済的、政治的、環境的状況につなげていくのである。-
という一節があります。
何を食べるかは地球全体の問題です。この丸元先生のメッセージが私のホールフードの人生のスイッチを押して下さったように思います。
あまりにも大きな地球規模の環境問題や経済政策・・・・それが私たちの日々の台所から変わっていくのだと思うと、心が熱くなり、そのフレーズは天の声のように響いています。